「登録講習機関等監査実施要領」が改正|登録更新講習機関も実地監査が必須に【2026年5月施行】

監査 2026年06月10日

「登録講習機関等監査実施要領」が改正
登録更新講習機関も実地監査が必須に【2026年5月施行】

2026年5月29日、「登録講習機関等監査実施要領」及び「登録講習機関等監査実施細則」の一部改正がパブリックコメントの結果とともに公示・施行されました。登録更新講習機関への実地監査の義務化など、登録講習機関等の運営に直結する変更点を、監査実施団体の行政書士が国土交通省の回答に基づいて解説します。

監査実施要領 監査実施細則 登録更新講習機関 実地監査 パブリックコメント 国土交通省
川﨑 一礼
監修者
川﨑 一礼
ドローン事業責任者・監査責任者 / 行政書士(大阪会所属)
無人航空機の飛行許可承認申請・登録講習機関等の設立運営・監査実施団体の設立運営を専門とする行政書士。国土交通省に登録された登録講習機関等監査実施団体にて、150件を超える登録講習機関の外部監査を実施しています。
この記事でわかること

2026年5月29日施行・「登録講習機関等監査実施要領」「登録講習機関等監査実施細則」の一部改正
登録更新講習機関も登録有効期間内に少なくとも1回の実地監査が必須に(本部及び事務所)
③ オンライン監査の動画提出要件を緩和・eラーニングの学科講習も動画等の提出が必要に
④ 技能証明書返納証明書交付者講習等の監査項目に適用条件を明記・身体適性検査項目は削除

今回の改正の概要

「登録講習機関等監査実施要領」及び「登録講習機関等監査実施細則」は、登録講習機関・登録更新講習機関(以下「登録講習機関等」)に対して毎事業年度義務付けられている外部監査について、その具体的な実施方法や監査項目を定めたものです。国土交通省航空局が策定し、監査実施団体はこの要領・細則に従って監査を行います。

2026年2月20日から3月22日まで、これらの一部改正案について意見公募(パブリックコメント)が実施され、5件の意見が提出されました。提出意見を踏まえた案の修正が行われ、2026年5月29日に結果が公示されると同時に、改正後の要領・細則が施行されています。

根拠法令

今回の改正は、無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令(令和4年国土交通省令第59号)第6条第7号及び第14条第4号に基づく監査実施要領・実施細則の改正です。問合せ先は国土交通省航空局安全部無人航空機安全課です。

改正項目は多岐にわたりますが、登録講習機関等の運営に最も影響が大きいのは、登録更新講習機関に対する実地監査の義務化です。次の章で詳しく解説します。

登録更新講習機関も実地監査が必須に

従来、「登録講習機関等監査実施要領」における実地監査は、登録講習機関を対象としており、実地監査の対象に登録更新講習機関が含まれていませんでした。今回の改正により、この取り扱いが変更されています。

一次情報での確認

改正前の「登録講習機関等監査実施要領」3-2-1.(3)では、「登録講習機関に対しては、当該登録講習機関の登録有効期間内において、少なくとも一回は実地監査を実施すること。」と規定されており、対象は「登録講習機関」のみで「登録更新講習機関」は明記されていませんでした。今回の改正は、この実地監査の対象に登録更新講習機関を加えるものです。

改正前
登録更新講習機関に対する実地監査は不要とされていた。
改正後
登録更新講習機関も、登録有効期間内において少なくとも1回は実地監査を受ける必要がある。

登録更新講習機関は、登録の要件として実地講習を実施できる体制を備えていますが、実際には失効者がいない年度など、実地講習の受講者がいない期間も生じ得ます。国土交通省の回答では、こうした場合であっても、登録更新講習機関は実地講習の監査(動画提出)が必要であることが示されています。なお、受講者が不在であるなど円滑に監査を実施できない事情がある場合は、模擬講習による監査も認められています。

⚠ 実地監査の対象には「本部」だけでなく「事務所」も含まれます。改正前は「本部又は事務所に赴き監査を実施する」という表現がやや分かりにくいとの指摘があり、改正後は「本部及び事務所」に赴いて実施する旨に表現が見直されました。複数の事務所を展開している登録更新講習機関は、実地監査の対象範囲を改めてご確認ください。

さらに、計画的監査におけるサンプリング監査(3-2-1.(3))についても、技能証明の資格の区分(一等又は二等)ごとに監査を実施する必要がある旨が明確化されています。一等・二等の両方の講習を実施(届出)している場合、ある年度に一等の受講生がいなくても、一等区分の監査は必要になる点に注意が必要です。

サンプリング監査の対象改正後の取り扱い
学科講習技能証明の資格の区分ごとに、少なくとも1科目の履修科目が対象(無人航空機の種類は問わない)
実地講習無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに、それぞれ少なくとも1科目の履修科目が対象
修了審査(基本)無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに、少なくとも1回は事務所ごとに監査を実施
修了審査(限定変更)無人航空機の種類及び技能証明の資格の区分ごとに、監査実施団体が指定する1以上の修了審査を事務所ごとに監査

修了審査の動画提出要件の見直し(オンライン監査)

オンライン監査における修了審査の動画提出要件についても、実務上の負担を踏まえた見直しが行われました。

改正前
修了審査の開始から終了までを対象とし、無人航空機及び実習空域の様子の両方が常に映る形で記録されたものであること。
改正後
修了審査の開始から終了までを対象とし、無人航空機が開始から終了まで映っており実習空域の様子についても把握できる形で記録されたものであること。

改正前の規定では、飛行・移動する無人航空機と広範な実習空域の「両方」を常に同一画角に収め続けることが実務上極めて困難であり、軽微な画角のずれによって「監査不能・再撮影」と判定されるケースが想定されていました。改正後は、無人航空機本体を常時撮影することを基本としつつ、実習空域については複数カメラの映像の組み合わせ・切り替えなどで「把握できる」形であれば足りることになります。

eラーニング学科講習の動画提出義務化

修了審査の動画要件とは別に、学科講習をeラーニングで実施している登録講習機関等についても、新たに動画等の提出が義務付けられました。

改正前
学科講習をeラーニングで実施している場合、動画等の提出が不要と解釈される余地があった。
改正後
eラーニングで学科講習を実施している場合も、講習画面の録画等、講習の様子を記録した動画等の提出が必要

⚠ 国土交通省の回答における「講習画面の録画等、様子を記録した動画等」という表現からは、提出すべき動画が「eラーニングの講習画面そのものの録画」を指すのか、「受講者がeラーニングを視聴している様子の録画」を指すのか、文言上は一義的に確定しません。実務上は、監査実施団体の指示に従い、どちらの形式で提出するかを事前に確認することをお勧めします。

その他の改正ポイント

上記のほか、監査実施細則のチェックリストを中心に、以下の改正が行われています。

追加
技能証明書返納証明書交付者講習の監査項目に適用条件を明記
監査チェックリスト別添1(本部用)2.13・2.14、別添2(事務所用)3.12の各項目の末尾に「※技能証明書返納証明書交付者講習を行っている場合のみ」が追加されました。当該講習に係る変更届出を行っておらず、講習を実施していない登録講習機関等は、当該項目は適用外(対象外)となります。一方で、当該講習を実施(届出)している登録講習機関の監査においては、3.12を含む該当項目を必ず確認する必要があることが国土交通省の回答で示されています。
削除
登録更新講習機関監査チェックリスト(本部用)の「身体適性検査」項目を削除
登録更新講習機関監査チェックリスト(本部用)の「5. 身体適性検査」の項目について、「不要である」とのパブリックコメントの意見が採用され、当該項目が削除されました。
明確化
「監査の対象となる全ての受講者」への表現の明確化
サンプリングによる監査に関する規定のうち、「全ての受講者」という表現が「監査の対象となる全ての受講者」に修正されました。これにあわせて、「前回の計画的監査以降」という重複した記載が整理されています。なお、計画的監査の対象期間が「登録日又は前回の計画的監査にて確認を受けた最後の講習事務の実施日の翌日のうちいずれか遅い日から、当該計画的監査にて確認する最後の講習事務の実施日まで」であることに変更はありません。
維持
実地講習のオーバーライドに関するチェック項目を削除
監査実施細則において、実地講習におけるオーバーライド(または代替措置)に関するチェック項目が削除されました。国土交通省の回答では、これによりオーバーライドの実施は告示上の必須事項ではなく推奨事項にとどまるとの理解が示されています。

据え置きとなった項目

パブリックコメントでは監査の負担軽減を求める意見も複数提出されましたが、安全性・適法性の担保を理由に、以下の項目は原案のとおり据え置かれています。

意見の内容国土交通省の考え方
事務所ごとの監査・サンプリングを、機関全体での適切なサンプリングに変更してほしい 適切な無人航空機講習の確保の観点から、監査は登録講習機関の規模等にかかわらず事務所ごとに行う必要があるとして、原案のまま
オンライン監査・実地監査について、監査責任者1名での単独実施を認めてほしい 監査の適正化を図る観点から、監査員を含む2名以上で行うことが必要として、原案のまま
主観的な評価項目(問題セットの使い回し防止等)を削除してほしい 修了審査の形骸化を防止する観点から、原案のまま
学科・実地で重複する受講者管理の項目を1つに統合してほしい 学科と実地で異なる出欠管理を行うことも想定されるため、原案のまま

また、航空局職員による監査への同席についても言及があり、登録講習機関等は航空法第134条に基づく報告徴収・立入検査への対応義務があるため、同席にあたって登録講習機関等から事前に協力を求める必要はないとの考え方が示されています。同席に係る職員の旅費は航空局が負担するとされています。

監査実施団体としてのサポート

株式会社フォローアップは、登録講習機関等監査実施団体として、改正後の「登録講習機関等監査実施要領」「登録講習機関等監査実施細則」に基づく監査を実施しています。

特に登録更新講習機関の方へ

今回の改正で実地監査が新たに必須化されたことにより、これまでオンライン監査のみで対応してきた登録更新講習機関は、実地監査の受け入れ準備(本部・事務所の体制確認、実地講習の準備等)が必要になります。年度内の監査計画にどのように組み込むかについて、早めにご相談いただくことをお勧めします。

監査のスケジュール調整・チェックリストに基づく事前確認・改正内容を踏まえた是正対応のご相談など、お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

「登録講習機関等監査実施要領」及び「登録講習機関等監査実施細則」の一部改正は、2026年(令和8年)5月29日に公布・施行されています。改正案は2026年2月20日から3月22日までパブリックコメントにかけられ、5件の意見が提出されました。意見を踏まえた修正を経て、5月29日に結果が公示されると同時に施行されています。
はい。今回の改正により、登録更新講習機関についても、登録有効期間内において少なくとも1回は実地監査を受ける必要があります。従来は実地監査の対象に登録更新講習機関が含まれていませんでした、改正後はこの取り扱いが変更されました。これまで実地講習を実施していない登録更新講習機関であっても、実地講習の監査(動画提出)が必要となります。
修了審査の動画提出要件が緩和されました。改正前は「無人航空機及び実習空域の様子の両方が常に映る形で記録されたものであること」とされていましたが、改正後は「無人航空機が当該修了審査の開始から終了まで映っており、実習空域の様子についても把握できる形で記録されたものであること」に変更されています。無人航空機本体を常時撮影することを基本としつつ、実習空域全体については「把握できる」程度で足りるとされ、複数カメラの切り替え等での対応がしやすくなりました。
今回の改正により、eラーニングで学科講習を実施している場合も、講習画面の録画等、講習の様子を記録した動画等の提出が必要となりました。従来はeラーニングについて動画提出が不要と解釈される余地がありましたが、改正後は動画等の提出が必要であることが国土交通省の回答で明確化されています。なお、提出すべき動画が「講習画面そのものの録画」か「受講者が視聴している様子の録画」かは文言上明確ではないため、実務上は監査実施団体に事前にご確認ください。
緩和されていません。パブリックコメントでは、登録講習機関の規模や品質管理体制に応じて「機関全体での適切なサンプリング」を認めるよう求める意見が提出されましたが、国土交通省は「適切な無人航空機講習の確保の観点から、監査は登録講習機関の規模等にかかわらず、事務所ごとに行う必要がある」として、原案のとおり据え置く判断を示しています。同様に、オンライン監査・実地監査を監査員を含む2名以上で行う体制についても、1名での単独実施を認める例外は設けられませんでした。
今回の改正で、監査チェックリストの該当項目(別添1〔本部用〕2.13・2.14、別添2〔事務所用〕3.12)の末尾に「※技能証明書返納証明書交付者講習を行っている場合のみ」という適用条件が明記されました。これにより、当該講習に係る変更届出を行っておらず、講習を実施していない登録講習機関等については、当該項目は監査の対象外(適用外)です。一方で、当該講習を実施している登録講習機関の監査では、3.12を含む該当項目を必ず確認する必要があることが国土交通省の回答で示されています。
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