修了審査でよくある採点ミス|減点適用基準の見落とし・誤適用を監査実施団体が指摘

監査 2026年07月20日

修了審査の減点適用基準、誤解していませんか?
よくある誤用パターンを解説

登録講習機関が実施する修了審査では、減点適用基準の理解・運用をめぐって生じやすい誤解があります。細目の混同や見落としによって本来行うべき減点が行われないケースを、監査実施団体の立場から解説します。

修了審査 誤用パターン 減点適用基準 安全確認不足 飛行経路逸脱
川﨑 一礼
監修者
川﨑 一礼
ドローン事業責任者・監査責任者 / 行政書士(大阪会所属)
無人航空機の飛行許可承認申請・登録講習機関等の設立運営・監査実施団体の設立運営を専門とする行政書士。国土交通省に登録された登録講習機関等監査実施団体にて、150件を超える登録講習機関の外部監査を実施しています。
この記事でわかること

離陸指示の言い回しに安全確認を促す言葉が含まれると「助言」=不正行為(不)に該当するおそれがある
「飛行経路逸脱」と「指示と異なる飛行」は別の減点細目・区画進入自体と復帰の遅れをそれぞれ独立して評価する
日常点検記録の点検日時・場所の誤りは1点減点の対象・記録内容と実施の有無を分けて確認する必要がある
「安全確認不足」は気象状況の確認も含む・空域確認のみでは不十分

誤解①:離陸指示の言い回しが「助言」に該当するケース

口述試験(飛行前点検) 危険な操作/不正行為(いずれも減点数「不」)
根拠となる適用事項
「危険な操作」:周囲の安全を確保することなく推進系統等を作動させて点検を行ったとき(不)
「不正行為」:受験者が他の者から助言又は補助を受けたとき、その他不正の行為があったとき(不)
誤解しやすいケース①:受講者が機体を離陸させて動作確認する際、周囲の安全確保を怠っているにもかかわらず、そのまま採点を進めてしまう。
誤解しやすいケース②:審査の一連の流れの中で、離陸を指示する際に「安全を確認して離陸してください」という定型的な言い回しを使ってしまう。これは受講者への「助言」に該当し、「不正行為」として即時不合格の対象となりうる。
正しい理解:修了審査員の指示・発言は、安全確認を促す内容を含んではならない。離陸の指示は「離陸してください」など安全確認に言及しない表現にとどめ、安全確認を怠った事実が確認された場合はそれ自体を「危険な操作」(不)として記録する。日頃使い慣れた言い回しに安全確認への言及が紛れ込んでいないか、審査員間で指示文言を統一しておくことが望ましい。

修了審査員が普段の指導感覚で発した言葉であっても、細則上は「助言」として扱われる場合があります。特に離陸・着陸などの定型的な指示文言に安全確認を促す言葉が含まれていないか、審査員間であらかじめ確認しておくことが重要です。

誤解②:日常点検記録の軽微な誤りを見落とすケース

口述試験(飛行前点検・飛行後の点検と記録) 日常点検記録の軽微な誤り(1点減点)
根拠となる適用事項
提供された様式の記入方法に従わずに記録し、点検日時や点検場所等を誤って記載を行ったとき(1点減点)
誤ったケース:日常点検記録に記載された点検日時に誤りがあったにもかかわらず、減点を行わずに合格としてしまう。
正しい対応:点検日時・点検場所等の記載誤りは、内容の軽重にかかわらず1点減点の対象として明確に定められている。この規定は飛行前点検・飛行後の点検と記録の両方に共通して適用される。
見落としが起きやすい理由

点検「実施」の有無に意識が向きやすく、記録の「記載内容」の細部(日時・場所の正確性)は見落とされがちです。実施と記録は別の評価対象であることを、採点チェックリストなどで明示しておくことが有効です。

誤解③:「安全確認不足」の適用漏れ

実技試験 安全確認不足(5点減点)
根拠となる適用事項
①目視外飛行にてカメラ画像で移動先及び周囲の安全を確認しないまま移動させたとき
離陸前に飛行空域及び気象状況に安全上の問題がないことを確認せずに離陸させたとき
③着陸前に着陸地点及び周囲の状況に安全上の問題がないことを確認せずに着陸させたとき
誤ったケース①:屋外で実施する場合、飛行空域の確認は行っているが、気象状況の確認を怠っているにもかかわらず減点していない。
誤ったケース②:目視外飛行でカメラ画像による移動先・周囲の安全確認を怠っているにもかかわらず減点していない。
正しい対応:「安全確認不足」の適用事項は空域・気象・着陸地点の3つが独立して定められている。空域確認ができていても気象状況の確認が欠けていれば減点対象となる。

細則の注釈には「修了審査員に安全確認を行った旨を伝えなかった場合は、安全確認を行っていないものとみなす」と定められています。受講者が実際に確認していても、口頭で申告しなければ未確認として扱われる点も、あわせて徹底が必要です。

誤解④:飛行経路逸脱と指示と異なる飛行の混同

実技試験 飛行経路逸脱/指示と異なる飛行(いずれも5点減点)
根拠となる適用事項
「飛行経路逸脱」:機体の半分以上を減点区画に進入させたとき※注1
「指示と異なる飛行」:飛行経路逸脱のため復帰指示を受けたにもかかわらず、機体を概ね2秒以内に飛行経路に復帰させなかったとき※注4
※注1(「飛行経路逸脱」に対する補足):減点区画への移動開始地点から移動完了地点への飛行区画ごとの初回の進入については、修了審査員が受講者に進入した旨を知らせた後、機体を概ね2秒以内に飛行経路に復帰させた場合は減点しない
※注4(「指示と異なる飛行」に対する補足):上記の「飛行経路逸脱」の適用事項は、減点区画への移動開始地点から移動完了地点への飛行区画ごとの初回の進入を除く。つまり注1で減点対象外とされた初回進入時の逸脱は、「指示と異なる飛行」側でも重ねて減点しない。
注意が必要なケース:スクエア飛行はA・B・C・D・E各地点間で「移動区画」が区切られているため、区画ごとに初回進入の扱いがリセットされる。一方、8の字飛行には区切られた移動区画が存在しないため、初回進入のリセットが生じない。この違いを理解せずに一律の基準で採点すると、誤った判定につながる。
正しい対応:減点区画への進入が生じた場合、まず「飛行経路逸脱」として区画進入の事実を評価する。そのうえで、進入後2秒を超えて復帰しなかった場合は「指示と異なる飛行」を別途適用する。両者は独立した減点事由であり、一方のみを見て判断しない。8の字飛行では移動区画による初回進入リセットがない点を踏まえ、逸脱のたびに正しく判定する。
FUドローンスクールと監査の視点

株式会社フォローアップは国土交通省の一覧に掲載された登録講習機関等監査実施団体です。監査実施団体の立場から、登録講習機関が減点適用基準をどのように理解・運用しているかを確認しています。減点適用基準の解釈について不安がある場合はお気軽にご相談ください。

よくある質問

口述試験(飛行前点検)の減点適用基準では「不正行為」の適用事項として「受験者が他の者から助言又は補助を受けたとき」が定められており、減点数は「不」(即時不合格)です。修了審査員が受講者に安全確認を促す発言をすると、この「助言」に該当するおそれがあります。修了審査員が安全確認不足に気づいた場合は、助言せずに「危険な操作」または「安全確認不足」の減点細目で採点するのが適切な対応です。
一等・二等ともに実技試験(修了審査では実技審査)の減点適用基準には「飛行経路逸脱」と「指示と異なる飛行」という別々の減点細目が存在し、いずれも5点減点です。「飛行経路逸脱」は機体の半分以上が減点区画に進入したこと自体を指します。「指示と異なる飛行」は、飛行経路逸脱のため復帰指示を受けたにもかかわらず、機体を概ね2秒以内に飛行経路に復帰させなかった場合などが該当します。両者は別の減点事由であり、状況に応じて正しく使い分ける必要があります。
はい、減点対象です。「日常点検記録の軽微な誤り」として1点減点が定められており、適用事項には「提供された様式の記入方法に従わずに記録し、点検日時や点検場所等を誤って記載を行ったとき」と明記されています。この規定は飛行前点検・飛行後の点検と記録の両方に共通して存在します。
実技試験(実技審査)の減点適用基準に「安全確認不足」という減点細目があり、5点減点です。適用事項は、①目視外飛行にてカメラ画像で移動先及び周囲の安全を確認しないまま移動させたとき、②離陸前に飛行空域及び気象状況に安全上の問題がないことを確認せずに離陸させたとき、③着陸前に着陸地点及び周囲の状況に安全上の問題がないことを確認せずに着陸させたとき、の3つです。屋外実施の場合、空域の確認だけでなく気象状況の確認も対象である点に注意が必要です。
細則の注釈では「修了審査員に安全確認を行った旨を伝えなかった場合は、安全確認を行っていないものとみなす」とされています。つまり受講者が実際に確認していても、それを声に出して修了審査員に伝えなければ、確認していないものとして扱われます。修了審査員はこの点を踏まえて採点する必要があります。
株式会社フォローアップ
登録講習機関の外部監査はお任せください

無人航空機に関する法務を専門とする行政書士が運営する監査実施団体です。
法的根拠に基づいた適切な指摘と、実務的な是正アドバイスを提供します。
初回相談・お見積もりは無料です。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!